ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

全国学力・学習状況調査の中学校の問題を眺めて

Education

昨日、全国学力調査が行われましたね。

まだきちんと読み切ってはいないのですが、軽く思ったことをメモ。

www.nier.go.jp

時間が厳しく量の多い試験だよね…

三領域1事項についてバランスよく出題する必要があるため、どうしても出題数が多くなっているなぁ…という印象。記述もそれなりの数があることを考えると、なかなか普通の中学生が集中して解ききるにはキツイよなぁ…と思う。

国語と数学の二教科ではあるけど、それでも普段の考査とは質が違うことを試されている場合が多かろうと考えると、なかなかキツイ。

一つ一つの問題はさほど重くはないとは思うが、一日がかりでやっていることを考えると結構ハードである。

授業に活かしてこその調査

毎年、言っているような気がするが、この調査は点数の結果を競い合わせることにばかり耳目が集まるが、本来はこの調査の出題例などを見て、指導要領の理解や「活用」とはどういうことかの理解や明日からの授業改善に役立てるという狙いもある。

「言語活動の充実」が謳われながらも、結局、あまり大きな改革がないからこそ、アクティブ・ラーニングで一躍世間の注目を集めた「主体的・対話的な深い学び」を旗印に次期学習指導要領の改訂が行われたわけだけど、少なくとも、現行の指導要領でも「主体的・対話的な深い学び」を実現する授業は可能なはずだ。

特に「活用」という概念はかなり理解が難しい。 

s-locarno.hatenablog.com

s-locarno.hatenablog.com

正直、「話すこと・聞くこと」の問題は出題として苦しいのだけど、ただ文章を読み取るだけではなく、複数の情報を組み合わせることや交流を通して質問や助言をすることや振り返りなどを組み合わせた授業のイメージはつかめるのではないか。

定番教材の扱い

今年のB問題の小説に「走れメロス」が出たのは少しだけ注目していいかもしれません。

今までの中学校の学力調査では、ちょっとした文法や表現の小問に宮沢賢治や川端康成の文章が、小説の読解に夏目漱石の「吾輩は猫である」「坊ちゃん」や新見南吉(というかこの二人の出題率高すぎでないか!?)が出ていたけど、教科書の定番教材が出題されたのは今回が初めて。

定番教材について、踏み込んで出題を出すというのは結構思い切ったのではないかという気がする。

どうしても国語科は定番の文学教材については、普段は言語活動をやっているような人でもコンテンツに引っ張られがちになる。 

s-locarno.hatenablog.com

今回の学力調査の問題は思い切って「走れメロス」自体は「文学作品をおススメする」という目的のための情報源の一つとしか扱わないやり方を示したのは、最近のコンピテンシーベースの話と併せて考えても、コンテンツに偏りがちな現場は重く受け止めたほうがいいような気はする。 

s-locarno.hatenablog.com

しかも、おそらく日本の中学生の9割以上が授業で習ったであろう「走れメロス」でこういう出題の方法をしたのは、強い意志を感じる。

定番教材についての扱い方が「読むこと」一辺倒で硬直化していることをよく見直したほうがいいと思う。

しかし、果たして、この調査問題のように割り切って走れメロスを扱える教員ってどれくらいいるのだろう……?

ついでに言っておくと、小説の問題にまたまた夏目漱石の作品が出ましたが、「夢十夜」というのはやや驚きです。これまでの「吾輩は猫である」「坊ちゃん」に比べるとやや読むのが難しい印象を受ける。高校の国語総合の教科書に載っているくらいなので、中学校三年になりたての生徒にはちょっときついかなという印象はある。

点数を追いかけるのはやめませんか…

どうしてもこの調査は点数ばかり話題になる。

しかし、内容をみると文科省側の強い意志やこれからの授業の方向性を感じる部分もある。

だからこそ、きちんと問題と解説を眺め、現場は授業の改善について責任を持たなければいけないのではないかと思う。

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