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ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

新年度は職員室での生産性を上げよう

成果を上げて5時に帰る教師の仕事術

成果を上げて5時に帰る教師の仕事術

 

明日から新年度ですね(そして勤務校は明日から仕事だという…)。

旧年度のことを惜しむ暇もなく、生徒が登校してくるまでの数日間でかなり忙しくなる先生方が多いと思いますが、天気も急に寒くなるようなのでお体にはお気をつけください。

さて、そんな年度の終わりには次年度の仕事のことを考える人が多いかと思いますが、そんな人々にお勧めしたいのがid:iwasenこと岩瀬直樹先生の「仕事術」の本です。

軽井沢風越学園のことでも注目されている岩瀬先生ですが、生徒のことを本当によく考えていらっしゃるのが分かる偉大な実践者の一人だと思っていたので、ぜひいつか話してみたいなぁと思っているお方……そんな方の仕事への考え方が分かる一冊であるので年度末の時間の取れたこのタイミングで手に取ってみました。

肩の力を抜いていこうと思える

教員の仕事には際限がない。これはよく言われることです。

実際、職員室は夜7時を過ぎても多くの先生が残っている…どこから「部活動も終わったしこれから仕事の本番だ!」と言わんばかりの人が…。

そのため、逆に「用事があるから五時には帰ろう」ということになると、仕事している大多数からの視線を気にしつついそいそと帰ることに…。

こんな記事を見た。

jbpress.ismedia.jp

あまたの反論のうちで、筆者がもっとも深刻に組織上のリスクにつながると思うのは、「育児や介護など、“事情のある人”の労働時間の配慮はしている。なぜ、“長い時間働ける人”や“残業をしてでも仕事をやり切りたい人”までもが早く帰らなくてはいけないのか」というタイプの意見だ。

あー…職員室あるあるだよなぁ…。特に部活動の問題も絡んでくるとまさにこの反論になるからね…「生徒のためにやるのは当たり前でしょ」という言葉とセットで。

まあ、部活動の問題は脇に置くとしても、何となく早く帰るのが居心地悪かったり年休を使う(=ホームルームや授業に穴をあける)と迷惑だというような目で見られたりというのは、職員室あるあるだろうなぁと思う。

そんな雰囲気があるものだから、この本の中で岩瀬先生が書いているように、自分自身に自由が利く間は「長く働くのが熱心で偉い」という自意識が生まれやすい。教材研究を遅くまでやっていたり授業の資料を遅くまで用意していたりする自分が「他の人よりも頑張っている」というつもりになりやすいのだ。

まあ、若くて自由の利くうちならばそれでもいいのかもしれない*1が、自分の体調が悪くなったり自分の時間が自分だけのものではなくなったりしたときには、そのような「無茶」な働き方は見直さなければいけないのだろう。

岩瀬先生も結婚やお子さんが生まれたことで立場が変わり、働き方を変えざる得ない状況になったことを赤裸々に述べられている。岩瀬先生のご活躍を知っているだけに、それが決して「手抜き」という方向に効率化を考えたのではなかったということは疑いようがない。自分ができることを力みすぎないで丁寧のこなしていこうという方法であり、そうやってごり押しの量を仕事するのではなく、必要なことをしっかりと仕事することで自分も周囲も幸せになっていく方法を考えているのが素晴らしいと感じる。

自分一人で働くのではなく…

本書の中の仕事術は、ビジネス書やライフハック本では「よくある」ことを教員向けに書いているという面はある。だから、そういう本に読むのに慣れている人にとっては、一つ一つのテクニックについてはあまり目新しいものはないかもしれない。

でも、この本が「教員向け」という意味で、非常に重要だと思うのは種々のライフハック本が「自分自身の」仕事の効率化であったり生活の改善だったりするのに対して、本書のスタンスは「自分も含めた自分に関わる環境全てをよくする」というスタンスだ。

教員の仕事は「個人商店」のような仕方をしている一方で、ビジネスのようにシビアに効率化を考えたりもしないから、最近になって教員向けにビジネス書のような仕事の効率化の本が少しずつみられるようになっている。しかし、それらの多くは「個人商店」としての教員商売の改善の方法であって、「商店街」としての学校…分かりにくいか、最近はやりの言い方をするなら「チーム学校」としての教員の仕事の仕方を考えている本は少ない。

この岩瀬先生の本はその意味だと、「学年や学校」も巻き込んでよい仕事をしていくこと、もっと言うなら自分たちの「家族」が幸せになることまで考えて書かれていることが凄いのだ。

周りに期待することはしんどい。だから、多くのライフハック本は自分を変えることに焦点がある。

でも、岩瀬先生の価値観の中心には、本書に何度も「家族」のことが出てくることからもわかるように、自分の周りが幸せになるためにどう働くかということがある。だからこそ、自分に関わる人たちを巻き込んでいこうという働き方が紹介されている。

「成果を上げて5時に帰る」というタイトルだけ見ると自分だけのことを論じているように見えるけど、この本は正確には「みんなで成果を上げて5時に帰る人もそうじゃない人もみんなで幸せになって帰る」と言ったほうがいいと思う。

まずは小さなことから

本書で紹介されていることは「簡単な」ことが多いです。いきなりGTDをやるためにフランクリンプランナーを買ってこいとかiPhoneアプリの何とかをダウンロードしてアカウント登録してとかありません。それこそ紙と付箋があればできてしまうことです。

だからこそ、気軽に手に取って読んでもらいたいと思うし、そういった「手軽な」方法で達成しようとしている「みんなで幸せになること」の願いを読み取ってほしいなぁと感じる。

特に、明日から先生になる新卒の先生たちには、自分たちの教員としてのキャリアをどう描いていくかというイメージを持つためにもおすすめの一冊です。日々の授業だけに追われていると、自分がどうやって教員として成長していくかわからないままで過ごしてしまいますから…。

もうすぐ終わってしまう春休み。この春から新しい働き方や働き方のパラダイムを持ってみたいと思うのであれば、おススメの一冊ですよ。

*1:ワタシも若くて自由が利く人間である。若いんです。若いんだってば。

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