ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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質問する力を鍛える ~「Q思考」のススメ~

Question mark sign

今年一年の授業の反省をしている。

自分にとっては、この一年は仕切り直しの一年だったので、勤務校では初めての試みをしてみたこともあった。

しかしながら、一年を通して旧態依然の内容と新しいことの奇妙な混合できてしまったことを大いに反省しなければいけないなぁと思っている。その最たるものが、「生徒に質問を考える時間を与える」ということについてあまり考えてこなかったことのように思う。

質問する力はなぜ大切か

最近、生徒の質問する力について考えるようになったのは以下の本の影響が大きい。 

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

 

この本の感想については、前にも記事を書いた。 

s-locarno.hatenablog.com

以前にも紹介したけど、「人々が日々遭遇している問題の深刻さが明らかになるとともに、重要な思考と自分を主張するためのスキルを教える」(P.15)ことの必要性から「よく考えて行動する民主的な市民になれる」(P.25)ということを目指して考えられた「質問する」力の鍛え方の本だ。

つまり、「質問する力」を鍛えるということが子どもにとって自分たちの問題を発見し、解決するための力を育てることであり、社会を発展させていくための原動力となるような市民を育てていくことにつながるのである。

本気で生徒にとって真摯な学びを実現するのであれば、どこかで「質問」を生徒の中から生まれてくるものへと手渡していかなければならないのだと感じるのである。

激変する社会の中で必要とされる質問する力

 

そんなことを思っているときに、最近、新しい本を見つけて読んだ。 

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

 

タイトルの通り、ひたすら様々な質問によって生まれてきたイノベーションについて紹介している本だ。

この本は様々な成功事例の紹介という自己啓発書という側面はあるが、一方で、本書の構成がすべて「質問」から始まっており、一つ一つの事例を立ち止まって考えることを求めるような本になっている。

この本では上述のサンタナとダンの「質問」の実践の事例も紹介されているが、それ以外にも社会の中で実際に「質問」が力を発揮した場面が紹介されている。だから、上述の『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』が教室の事例に留まっているため、「本当に社会とつながるのか?」という疑問を持ったときや、生徒に質問の力の大きさを伝えるためのケーススタディとして非常に優れた一冊であるように感じる。

生徒に「質問」を手渡せるか

 

最初の話に戻ることになるけど、今年の一番迷走したことが「質問」を巡る授業設計だろうと感じる。

結局、一年の初めの段階で「どこまで生徒に自由を手渡すのか」ということについて、明確なゴールが見えていなかったということが大きい。というのも、自分が受け持つ生徒のレベルや周囲の教員との足並みや教科担当同士の意思疎通などが全然想像できなかったということが大きい。

結果的には、自分の自由裁量で好き勝手できるような状況にあるのだけど、四月の段階では全く見通しがなかったので、生徒に対して自由にやらせるかコントロールするかということがなんとも中途半端だった。

自分としては、自分の根幹にはプロジェクトベース学習がある。 

s-locarno.hatenablog.com

だから、自由に、生徒自身の「質問」をいかせるような授業をしたいと思う。

しかしながら、何をしたらいいか分かっていないことが大きくて「質問する力」を鍛えるという発想はなかったように思う。

だから、来年は、まずは「質問づくり」から始めようかと思う。

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