ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

教育のカネの問題

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備忘録および自分の考えのまとめ。

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 財務省は4日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、少子化の進行により、10年後の2026年度には公立小中学校の教職員定数を現状(約69万人)よりも約4・9万人減らすことができるとの試算を発表した。一方、文部科学省はいじめ問題などへの対応強化のため、約1・5万人減にとどめるべきだと主張しており、今後の予算編成の焦点の一つとなりそうだ。

ここ数年、この時期になると毎年議論が繰り返されている気がするが、今年も財務省から教育予算を減らそうという話が出てきた。

ここ数年、財務省の主張の仕方は「エビデンスベース」という言葉を使い、徹底して文科省の要求を「数字」で却下しようとしている。

www.mof.go.jp

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上のリンクのうち「文教・科学技術」に関する資料を見てもらうと、教育予算の要求に対する財務省からの「数字」による反論が述べられている。この資料をどう考えようか。

数字に対する反論は数字でするべき

財務省側の主張としては、例えば「少人数制が学力の向上に役に立っていない」というデータを出すなどして、教員の数を減らすことを主張している。

また、批判の多い「教育に対する公的支出が最低レベル」ということについても、別の指標によって「むしろ支出は多い」というような反論をしている。

このような反論に対して文科省や教員の側が量的な数値を出すことをしないで感情的に反論するのは筋が悪い。

冷静に財務省が主張をしているように見えるだけに、現場の人間が数字を出さないで「自分たちは忙しい」だとか「いろいろな問題がある」だとか主張しても、教育以外も様々な負担が強いられている状況だけに、教員や学校のワガママのように見えて孤立していくことになる。

だからといって財務省の数字が正しいというわけでも

そうはいうものの財務省の出している資料が学校の実態に合わせて適切な主張であるかは別問題であるように感じる。

例えば、OECDのEducation at a Glance OECD INDICATORS 2015の「学級規模と15歳児の成績との関連性を示すデータはない。それどころか、PISA調査では、各国は、例えば給与を引き上げて、優れた教員候補を募ったり、たとえそれによって学級規模が拡大することになったとしても、そちらを優先すべきだということを明らかにしている。」ということを述べて「学級の規模が拡大すること」を問題ないと言いつつ、その前提条件の「給与を引き上げて、優れた教員候補を募ったり」という点については言及していない。

また、「教員の多忙化」についても「授業以外のことが問題だ」という指摘を行い、「チーム学校を実現し、地域の人材などを活用すべきだ」ということを言いながらも、地域の人材や補助員を導入するための予算については言及はない。

また、様々な点で「外部との連携」をいうが、それは日本の教育費の私的負担が大きいということが長らく主張されながらも改善するどころか悪化している昨今において、公的に負担すべき教育にかかる費用を私的な負担へと責任を転嫁する流れに見える。

そもそも、教育の養成にしたって「国立大学の授業料引き上げ」だとか「免許更新の詩費負担」だとかで、公的な負担から私的な負担へと押しつけているのだから、教育に対する金を出す気があるのかということが疑わしい。

文科省にはデータと仕組みの両方を提示してほしい

財務省のデータは数字の上では筋が通っているだけに、世論がそちらに傾く可能性は十分にある。だが、決して教育の現場は恵まれている訳ではない。

多様化するニーズやそもそも質的に大きな転換を迫られていることを文科省はデータを使って示してもらいたい。

また、それと同時に教員の負担感などをカネを掛けなくても減らせるような仕組みや制度案を示すことで財務省のいうところの「教員の質」や「教育の質」についても現状の枠で担保してもらいたい。

個人的には部活動をどうにかしてくれるだけでだいぶ金もかからないしいいじゃないかと思うが(笑)

まあ、冗談はともかく、文科省が筋の悪い反論をしないか見ていきたいところだ。

 

「学力」の経済学

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