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ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

【書評】西岡加名恵先生の新刊は評価を学ぶために必携かも?

書評 アクティブラーニング

自分は大学・大学院と勉強不足が祟って、「評価」に関する知識がかなり弱いです。

そのため、アクティブ・ラーニングの流れで「カリキュラム・マネジメント」が強調されることもあって、評価についてもいよいよ勉強しなければいけないなぁ…と思っています。

そんなところに、先週、新しく「評価」に重点を置いた本が発売されました。 

「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

 

この本が、「明治図書」ということもあって、実践と理論のバランスが非常によい一冊なんです!

カリキュラムの「逆向き設計」 論とこれまでの議論

本書は、八月の「審議のまとめ」の内容を受けて、アクティブ・ラーニングが「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の三つに整理されていたことを受けて、現実のアクティブ・ラーニングが「活動」にばかり傾倒してしまい、「はいまわるアクティブ・ラーニング」になる危険性を回避する必要性があることの指摘から始まります。

その重要なカギとして、西岡加名恵先生がこれまでも紹介してきたウィギンズとマクタイの「逆向き設計」論を紹介しています。

さらに、「審議のまとめ」で挙げられた育成すべき「資質・能力」を踏まえ、その評価として「パフォーマンス評価」や「ルーブリック評価」をアクティブ・ラーニングに取り入れることの必要性を述べています。

本書の「第1章」の内容は、非常に手短に、「何が求められているのか」「どんな評価が必要か」「なぜそのような評価が必要か」を述べているものになります。

「審議のまとめ」でかなり色々な用語が新しく出てきたことを考えると、ここまでの議論が「授業とどう関わるのか」という観点で議論されているため、かなり要領よく、評価に関わる資質やカリキュラム・マネジメントに関わる話をさらうことができます。

アクティブ・ラーニングに関わる話を俯瞰できる意味でも、本書はかなり優秀です。

実際のルーブリックやポートフォリオの運用が教科の実践例でわかる

さすが明治図書というべきか、本書は徹底して現場の教員に役に立てたいという意図が分かります。それは、本書では「全教科について、実際にパフォーマンス評価などを取り入れたカリキュラムや実践例を載せている」ということからバリバリ伝わってきます(笑)

この本で解説されている内容自体は、西岡先生の以前の本でも書かれていました。 

新しい教育評価入門 -- 人を育てる評価のために (有斐閣コンパクト)

新しい教育評価入門 -- 人を育てる評価のために (有斐閣コンパクト)

 

しかし、この本に書かれていることを理解する手間と、理解したうえで更に実践に置き換えていく手間を考えると、本書はかなりその部分を軽減した本だなぁと感じます。

決して、それは内容が薄いという意味ではありません。むしろ、明治図書の本にしては字が多い(笑)し、内容としても抽象的で固めです。

しかし、総合学習まで含めて、ここまで徹底して評価の概念やその概念を実際にどうカリキュラムや評価計画にして行くのかを説明している本はないので、評価について考えようとするとき、現場の先生はかなりこの本を読むことになるんじゃないかと感じる。

評価の手間と単元にかかる時間と…

本書に紹介されている例を見て強く感じることがある。

それは、「評価は非常に手間がかかる作業である」ということと「丁寧な評価を単元に組み込むと単元が大掛かりになりやすい」ということだ。

ある意味、「時間をかけて成長させていく」という話なので、当たり前のことなんだけど、教科担任になり、上下左右の先生方と足並みをそろえて授業をやらなければいけない中等教育の教員にとっては、意外と忘れがちなことである。

どうしても、「教材」をベースに単元を考えなければならないし、授業数も潤沢にある訳ではないので、様々なところで時間を節約しようとしてしまう。その結果、本来は丁寧にやらなければならない、授業の振り返りなどを「宿題」としてやらせてしまって評価の質的な差を生み出してしまったり、ポートフォリオのような作業を行うことが難しかったりする。

だが、本書で何度か繰り返し主張されているが、重要な概念やプロセスは教科を超えて繰り返し指導されなければ、身につかないのです。だからこそ、総合学習・探究学習の評価についての話にかなり紙幅を割いている訳です。総合学習について真っ当に評価を行っている例は……残念ながら多くないことを考えれば、ここまで紙幅を割いているのはかなり強いメッセージだと思う。

だからこそ、前にも紹介したけど、この本は読んでもらいたい。 

子どもの書く力が飛躍的に伸びる!  学びのカリキュラム・マネジメント

子どもの書く力が飛躍的に伸びる! 学びのカリキュラム・マネジメント

 

小学校だからこそ「教科を超えて」という観点を上手く利用して考えている本だけど、結局、本書で問題としてく「評価」だって、教科や教員個人単位で行うのではなく、学校全体、枠を超えてこそ、意味のあるものになるのではないかと感じる。

そんな意味でも、評価の手間を本書で改めて確認するのはよいかもしれない。

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