ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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【小ネタ】授業で使える?サイエンスウィンドウで科学的な文章を読もう!

二学期の授業が始まり、授業作りに忙しくなっている先生方は多いかと思いますが、そんな先生方に情報提供です。

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、国立研究開発法人科学技術振興機構が季刊で出版している『サイエンスウィンドウ』という雑誌があります。

sciencewindow.jst.go.jp

これは基本的には、理科向けの雑誌ではあるのですが、国語の授業のネタになるんじゃないかと思い、ご紹介します。

 PDFでバックナンバー含めて無料ですべて読むことができます

いきなり世知辛い話で申し訳ないのですが、やっぱりこういう授業のネタを集めるにあたって、お金がかかると、いくらよい素材だとしても簡単には使いにくくなるものです。

個人的な興味・関心で収集するのであればまだしも、授業のために何か素材を自腹で買おうとするのはできるだけ避けたほうがいいと思うのです。それは、例えば自分が病気になるなどして、本当に自分にお金が必要になった時に続けることができないような不安定なやり方であるし、職場で他の人と共有することができないやり方だからです。

話が逸れましたが、そんな意味でも、タダで利用できるということは、大きなメリットになります。しかも、バックナンバーまで利用できるので、かなり手広くジャンルを揃えることができるのも魅力でしょう。

そもそも科学的な雑誌を使う意味はある?

授業時間数などを考えると、どうしても教科書の素材を回すことに精一杯になりがちであるので、「こんな雑誌をやっている暇はない」というツッコミを受けそうなのですが、そのような意見に対しては以下のリンク先を見てください。

www.nier.go.jp

はい、全国学力調査です。この平成28年度の国語B問題を見てもらうと、「宇宙エレベーター」についての雑誌記事を読み、要旨を答えたり疑問点を述べ、その疑問点の解消の仕方について図書館をどのように活用するのかを答えさせたりする問題が出題されています(PP.5-10)

この問題の出題の意図については、解説集を読むと以下のように述べられている。

私たちは,日常生活の中で新聞や雑誌などを通し様々な情報と接している。それらの情報に関心をもち、知識を広げたり、考えを深めたりすることは、社会の中で生きる自分を意識することにもつながる。また,関心をもつことで生じた疑問や課題について、必要な情報を自ら収集して解決する能力や態度を養うことが大切である。(中略)記事の構成や内容を理解したうえで、新たな課題を見いだし、その課題の解決に向けて学校図書館を活用してどのように情報を収集するかについて考えることを求めている。(P.61:下線強調は引用者)

この解説をみて分かるように、「日常生活」という文脈を取り入れ、実際にそのような文脈で活用させることや、雑誌のような「本」のようなテキストとは多少毛色が異なるものの、日常では当たり前に活用する言語材に触れさせる意義は大きい。

定番教材のような評論文だけでなく、このような体裁の文章を指導せずに、雑誌から情報を読み取れるようになれというのは、いささか筋として乱暴だろう。

なお、全国学力調査の結果については、今月の『国語教育』で多少言及があるので、興味がある方は読んでみてほしい。 

教育科学 国語教育 2016年 09月号

教育科学 国語教育 2016年 09月号

 

色々な材料を教室に持ち込むことに積極的になろう

大村はまの話を読んだりすると、「戦後直後で教室も教科書もないから、新聞やチラシを読ませて授業した」というような内容の話を見聞きしますが、普段、国語科教育を考えるときに厄介に感じる「教えることと活動と手段が全部同じ」といういうことが、逆に「身の回りにあるものが何でも学習材になる」ということの良さとなっていることを感じます。

しかしながら、子どもの理解や興味に併せた素材を見つけることは意外と難しく、色々と配慮をしなければいけないのです。そこが教員の腕の見せ所だとも言えますが、せっかく、このように初めから「子ども」を想定して作られている素材を有効活用しない手はないわけです。

実は、近年の教科書は「グラフ」を用いた文章や雑誌記事のような文章なども掲載されているのですが、意外と知られていなかったり授業で使われることが敬遠されたりと不遇な状況にあるように感じます。

しかし、より、活用や探究について考えていくときには、このようなタイプのテキストを使うことも大切だと思います。

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