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ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

新学期の授業開きにブックトークをやってみる?

国語教育 書評 授業構想メモ

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いよいよ、夏休みの最後の週末ということもあり、新学期の授業開きをどうしたものかと考えています。

二学期は巷でよく言われるように、行事が重なったり学校に慣れてきたリするために「中だるみ」しやすい時期であります。

ですから、どうやって授業開きをしようかということを考えるわけですが、そんな中で、以下の本を読んでみたら、ブックトークをして見せるのもいいのかなぁという気分になっています。 

だれでもできるブックトーク〈2〉中学・高校生編―素敵な本の世界を生徒たちに
 

 中身を紹介しながら、ブックトークなどについて思うところを書いておきます。

教員がやってみせることの重要性 

図書館についてや読書教育については全くの素人なので、偉そうなことは言えないのだけれども、子どもに本を読ませたいと願うのであれば、やはりまずは教員がやってみせないことには始まらない

本書でも、序章にあたる部分で理論的な背景が解説されているのだけれども、その中でも早い段階で、生徒に丸投げしても上手くいかないことが述べられている。

ブックトークを実践する時、実践者の本に対する思いというものもとても大切な要素になる。やはり本が好きで自分でもよく読書する人であって欲しい。時間がなくてあまり読書はできないが本に対する愛着はあるという人も、これを機会に読書する人になってほしい。

とにかく本に対する思いを持った人たちが、生徒たちに楽しい本の世界を伝えていこうという思いで取り組んでほしいと思う。(P.10) 

こういうような願いを持つ理由というのはよく分かる。

個人的な話にはなるけれども、教員が生徒に対して「本を読まないとダメだぞ」と高圧的に迫る割には、生徒の「だったら、何を読んだらいいんですか?」という質問に対してちゃんと答えていないなぁと感じる場面が多い。

また、入試対策ということで慌ててその分野の本を読み始める生徒は少なくないけれども、そういう生徒に対して適切にアドバイスできる人が案外少ないのは、やっぱり教員の読書経験の少なさの責任は大きいよなぁと思う。

教員が本を読んでいれば、子どもが本を読むようになるのかと言われると、そう単純な話ではないのだろうけど、ただ、若干、古いのだけれども、次の資料を見ると、教員が本を読まないことの問題を真剣に考えたほうがいい気がしてくるのだ。

読書実態調査(PDF資料)

この資料の4ページを見てもらうと、「中高生が読書をしない理由」がまとめられている。そして、その理由のトップにあるのが「本を読まなくても不便はない」ということなのだ。

これがどういうことなのかを断定するだけの資料はないのだけれども、「本を読まなくても不便はない」という意識を持たせていることと、周囲の大人の読書習慣の弱さが全く無関係とは言えないような気がする。

やはり、本を読んで有意義に過ごしている大人が身近にいれば、子どもももう少し読書に意味を見出してくれるんじゃないかなぁと思ったりもする*1

本を選ぶのは難しい?

また、他の理由を読むと「読みたい本がない、何を読んでよいのか分からない」ということの理由の割合が比較的高いことが目に付く。五割近くがこのように答えていることを大人は意外に感じるかもしれない*2

しかし、この観点は非常に重要であると思う。

最近の「言語活動の充実」の流れもあって、並行読書を単元に取り入れていき、生徒にたくさんの本を読ませていこうとする実践は増えていっているし、そうでなくても、生徒に熱心に本を勧める先生は少なくない。

しかし、その活動の結果、生徒が一人で読書できるような読書人として自立することにつながっているのかということはちょっと疑わしい。

授業である作品の関連読書をすることと、最初から自分の趣味や必要に応じて本を選んできて本を読むことは、やはり活動の仕方が大きくことなるよなぁ…と感じている。

そうなってくると、たとえばリーディングワークショップやリテラチャーサークルのような活動も計画にいれていかないといけないのかなぁと漫然と思ったりする。 

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本を読んで語り合うリテラチャー・サークル実践入門

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ただ、まあ、そこまで考えるとちょっと大掛かりになるし、生徒の負荷は大きいので、現状としては「こまめに読書案内をしよう」というのが自分のスタンス。

本の選び方を指導したり、その結果、自分で本を選べるようになるまで指導したりするには、かなり長期的な計画と我慢が必要だろうと思う。でも、子どもたちが「とりあえず本を探すことには困らない」、本に対するアクセスの障壁を下げる意味でも、マメに本を勧めておくことはできる。

だからこそ、中だるみしやすい二学期の授業開きでブックトークをしてみようかなぁという気にもなったのです。

読書はとてもナイーブなもの

朝読書が学校を席巻したのにもかかわらず、かつてほど流行していないのはなぜだろう。

読書感想文がこれほどまでに、毎年毎年、夏になると批判されているのはなぜだろう。

決して、「活字離れ」が進行している訳ではないのに、大人は子どもが本を読まないというし、子どもも決して読書が好きになっている訳でもないのはなぜだろう。

いずれも、簡単に答えられるものではないが、個人的には、いずれも大人のほうの問題が大きいような気がする。

好きな時に本を読むことや好きな本を読むことを認めなかったり、本で読んだことを執拗に作文にするなど開示することを求められたり、読んでいる本に文句をつけられたり、子どもも子どもなりに苦労しているように感じる(というか、自分の経験なんですがね)。

一方で、自分自身の人間性が伝わるようなブックトークをすると、本が嫌いな生徒までも、その本に対して興味を持ってくれることはある。

読書は、非常に個人の人格と結びついたナイーブなものなのです。

だからこそ、丁寧に、自分の価値観を伝えるようなブックトークを授業開きにやりたいなと思います。

*1:ブックトークを行う上で、本書の中の指摘の中でもさりげなく重要なものとして「学習の延長といった感じを抱かせるようなものは避けてほしい」(P.11)ということがある。教科の中での関連読書はそれはそれで必要であるが、ブックトークのような読書する子どもを育てることを目的とするような活動の場合にまで「これが何かの役に立つのだ」という観点から指導してはいけないように思う。結局、そのような指導では「読書は役に立たないから読書はしない」という生徒に対して何も手当をしていることにならない。

*2:他にも、個人的には「勉強や部活が忙しく、本を読む時間がない」ということは読書に限らず、教員が意識するべきことだよなぁとは思う。子どもの忙しさに対して、教員は鈍感になりがちである。

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